本紹介

【感想・レビュー】ドリルを売るには穴を売れ 誰でも「売れる人」になるマーケティング入門書

こんにちは。

最近読んだ本の中でとても勉強になった本があったので紹介したいと思います。

 

まず、この本はマーケティングの「入門書」として書かれていて、
営業、販売企画、広告、マーケティング等に関わっており、
「売ること」に関する体系的な理解をしたい方が、初めて手に取る本として書かれています。

理論の実践・応用例をわかりやすくイメージできるように、各章の前半部分は理論の説明、後半部分は理論に基づいて、イタリアンレストランを題材としたストーリーが展開されていきます。

なので、「ビジネス書やマーケティングの本は難しくて苦手だな...。

という方にも非常に読みやすい本になっています。

また、前半の理論の説明部分も表が多く、イメージがつきやすいのも
読み進めやすいポイントです。

そして話の内容で出てくる例が、
普段の生活で身近にあるものを例にして
説明してくれるので、この本を読んだ上で日常生活と結び付けて考えていくことで、
さらに理解が深まる本だと感じました。

それでは、各章を解説していきたいと思います。

序章:マーケティング脳を鍛える

「そもそもマーケティングとはどこで起こっているのか?」

普段の買い物を注意深く観察するとマーケティングのヒントは際限なく転がっています。
このようなヒントに敏感でマーケティング的な思考・発想ができることを筆者は
マーケティング脳」と呼んでいます。

マーケティング脳を鍛えるためには、自分が何かを買ったときに、
「なぜこの商品を買ったのか?」「なぜこの店で買ったのか?」を
考えていく必要があります。

・電車の中づり広告
・ネットショッピングで買い物をする体験

これこそが「マーケティングを体験している」ことであり、
「マーケティング脳」を鍛えることに繋がります。

つまり、あなたの買い物そのものがマーケティングであり、
それは会議室で起きているのではなく、あなたの日常で起きている。ということです。

第1章:あなたは何を売っているのか?-ベネフィット

顧客が「買う」と決断する時はどんな時か、、
それは「顧客が得られる価値 >顧客が払う対価」と感じるときです。

この時に顧客が得られる価値こそがベネフィットです。

顧客が得られる価値 >顧客が払う対価」とするためには
顧客が得る価値をさらに高めるか、顧客が支払う価値を下げる必要があり、
通常であれば顧客が得る価値を高める方法が選択されます。

ベネフィット=”顧客にとっての価値”と定義され、
「機能的ベネフィット」と「情緒的ベネフィット」の2種類に分けられます。

「機能なベネフィット」というのは商品がもつスペックによりもたらされる
メリットや便利さのことです。(便利、安い、使いやすい、早いなど)

対して、「情緒的ベネフィット」とはその商品を持っていいることで得られる
プラスの感情のことです。
(安心感、優越感、高級感、かっこいいなど)

そして「ベネフィット=価値」とは一体なんなのか、、という部分について
筆者は「人間の欲求、欲望である。」と言っています。

そして欲求には大きく、
生存欲求
②社会欲求
③自己欲求
の3つがあると言っています。

➀生存欲求
 生き続けたい、肉体的な快楽(
例:生きていくためにお金が欲しい、おいしいものを食べたいなど)

②社会欲求
 他人との関係でよく思われたい
(例:いいものをみせびらかしたい。ちやほやされたい。異性にもてたいなど)

③自己欲求
 他人とは無関係に、自分の中だけで完結する
(例:もっと成長したい。自分らしく行きたいなど)

人間はこの3大欲求を満たすために、対価としてお金を払って
「買う」という行動に移るということです。

なので、”「売る」ためには「欲求」を満たしてあげればよい。」ということになります。


筆者によると、広く売れる人気商品は、
3大欲求を同時に満たしていることが多いそうです

例えば家で考えてみると、
・広くてエアコンが完備されている快適さ(➀生存欲求)
・「おしゃれな家ですね」と言われる(②社会欲求)
・マイホームを持つ達成感(③自己欲求)

だいきち
だいきち
やっぱりみんなが買う商品はよく考えられていますよね。

第2章:誰があなたの商品を買ってくれるのか?
-セグメンテーション・ターゲット

顧客によって求める価値は違うので「セグメンテーション」で顧客を分けて
それぞれの価値を実現する。

セグメンテーションには、性別や年齢などで分ける「人口統計的な方法」と
心理的なポイント分ける「心理的な方法」があります。

セグメンテーション=分けること”です。

そして、分けられた各セグメントの中で売るべき顧客セグメントが、
「ターゲット」になります。

理想としては、”人口統計的なセグメーション”と”心理的なセグメーション”を
うまく活用することであると書かれています。

本書では、セグメンテーションの分け方や、
どのようにして2つのセグメンテーションを繋げて
ターゲットを絞り込んでいけばいいのかが詳しく解説されています。

第3章:あなたの商品でなければならない理由をつくる-差別化

この章では競合他社との差別化について書かれています。

ハンバーガー業界でいえば、マクドナルドは「安くて、早くて、便利に」
という点に価値を見出しています。

早くて便利にという点ではモバイルオーダーを導入し、
さらにこの点を強化しているといえます。

一方、ライバルのモスバーガーの独自性は「おいしさ」を追及し続けるという点です。
手作り感や食材へのこだわり(安全・安心)を大事にしています。

あとは、個人経営のハンバーガー屋さんは密着性を大事にしています。
自分の好みを知っている。店員さんが気さくで話やすいなども強みになります。

上記の3つの差別化が大切になります。
➀手軽軸(早い、安い、便利)
②商品軸(技術、高品質)
③密着軸(顧客をよく知っている、オーダーメイド)

マーケティングを考えて行くうえでこれらのどの点に絞って差別化を図っていくのか
とても重要になります。

自分の選ぶ差別化によっても絞るターゲットは決まってきます。
逆に言えば、顧客の求める価値を考えて選ぶ必要があるということです。

個人的にはこの章はかなり勉強になりました。

「色々挑戦したけどなんだかうまくいかない...。」と思うことがあります。

3つの差別化戦略すべてを行うことは不可能であり、
通常は差別化を図るときは一つに絞る

”一番最悪なのは中途半端になってしまうこと”です。

芸能人でも仕事でも際立った個性が重要になっていて、それが差別化になります。

しかし、「差別化を図った軸以外でも、ある程度の価値を提供しなければいけない」
書かれています。

だいきち
だいきち
自分の得意なことを考えて、さらに伸ばして行く必要があるし、
それ以外のことも最低限のレベルまで引き上げていく必要がありますね。

第4章:どのようにして価値を届けるのか?-4P

4Pというのはマーケティングの現場では必須要素らしいです。

下の4つの頭文字を取っているらしいです。
◎Product(プロダクト)ーーーーーーどんな商品やサービスを売って価値を実現できるか。
◎Promotion(プロモーション)ーーーどうやって価値を伝えるか。
◎Place(プレイス)ーーーーーーーーどこで買ってもらうか。
◎Price(プライス)ーーーーーーーーいくらで売るのか。

マーケティングの中心になるのは、Product(商品やサービス)です。
残りの広告、販路、価格はProductありきのことで、
顧客はまず商品やサービスのことを考えます。

自分が売る側に立ったときに間違えてしまいがちなのが、
「自分は商品を売ることが目的かもしれないけど、顧客としては手段として
買っているので、価値を実現する為に、商品やサービスを買っている。」
ということです。

その他の、Promotion(プロモーション)、Place(プレイス)、Price(プライス)についても例をあげて興味深い内容がのっているのでとても勉強になります。

第5章:強い戦略は美しい

この章は第1~4章のまとめとして東京ディズニーリゾート(TDR)のマーケティング戦略を解説しています。

➀ベネフィット
TDRで主に提供しているのは情緒的ベネフィットで、ひと言でいうと
夢のような楽しい時間」です。

別世界に来たかのような居心地の良さがTDRが提供している価値になります。

②セグメンテーションとターゲット
TDRのターゲットとしては、数字上で入場者の割合を見てみると
家族連れがメインの入場者になります。

ベネフィットと考え合わせると、TDRは「家族などがみんなで夢のような
楽しい時間を過ごし、思い出を作るという価値」を提供するということです。

③差別化
「手軽軸」でいうと都内からいくにはもっと便利なテーマパークがいくつかあります。
TDRでは「商品軸」で差別化していといえます。

最高品質のアトラクションやイベント、サービスという部分での高い価値を提供していると言えます。

④4P
ここでは詳しくは書きませんが、4Pについて興味深い内容が詳しく解説されています。

簡単にいうと、TDRの凄い点は「対価を受け取る仕組み」のマーケティングを、徹底的に実行している点にあると筆者は書かれています。

これらが一体となって「価値を提供して対価を受け取る」という
マーケティングの本質を体現しています。

「各要素間の流れるような美しさや一貫性が重要であり、
これを実践できているのがTDRであるということです。」

だいきち
だいきち
マーケティングの視点で考えてみると、改めてディズニーのマーケティングってすごいですね!

まとめ

イタリアンレストラン立て直しのストーリーも平行して進んでいくので、
自分の中に落とし込みやすく、とても理解しやすいなぁと思います。」

「ドリルを売るには穴を売れ」の理論を抑えつつ、マーケティングを意識しながら
日常生活を送っていくことでより理解は深められると感じます。

マーケティングは社会人として誰もが学んでおくべきスキルだと思うので、
入門書としておススメできる一冊です。

ありがとうございました。